2009年01月06日

ネット上で展開されるもう一つのパレスチナ紛争

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原田武夫国際戦略情報研究所公式ブログ

ネット上で展開されるもう一つのパレスチナ紛争  2009-01-06

イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が止まらない。フランスのサルコジ大統領や、EU議長国であるチェコによる仲介努力も空しく、イスラム系原理主義集団であるハマスだけではなく、数多くの民間人が犠牲になっている。

そのような光景が展開する背景で今、徐々に注目を浴びつつある「もう一つのパレスチナ紛争」がある。
それはネット上におけるイスラム原理主義勢力とイスラエル勢との間における戦いだ。

ここに来て最も話題になっているのが、イスラム系集団「チーム・イーヴィル(悪魔)」と名乗るハッカーたちの活動だ。
このグループは今年に入ってからイスラエルで有名な天気予報サイト(ynetnews.com)など有名なウェブサイトが使用しているサーバーを攻撃。これらのウェブサイトを閲覧すると、直ちに反イスラエル的メッセージが書かれたページへと飛ぶように仕掛けたとの報道がある。
ちなみにそれによれば、ハッカーたちの発信源は北アフリカのモロッコなのだという。

しかし、この情報については専門家の間で異論があるようだ。
一部には、むしろサウジアラビアとトルコがその活動の本拠地であるという情報もある。
しかも驚きなのは、これらイスラム系ハッカー集団が使用しているドメインを辿って行くと、その一部は米国のテキサス州にあるホストにたどりつくのだという(Softlayer)。
また別のドメインはベルギーで登録があり、しかもホストはデンマークにあると報じられている。デンマークといえば、昨年(2008年)、イスラム教を揶揄する漫画が有力紙に掲載され、イスラム勢から激しくバッシングを受けた国だ。そのような国が実はイスラム系ハッカー集団の手助けをしているということは、上記のような米国勢の実質的な“関与”とあわせ、大きな疑問符がつく展開だというべきだろう。

ちなみに戦争、あるいは地域紛争といえば、サイバー戦争が同時並行で行われるというのが最近の「お決まり」となりつつある。
昨年(08年)だけでも、インド・ムンバイにおける同時多発テロの際にはパキスタン系ハッカー集団によるものと見られるインド当局への攻撃が行われた。また、8月に勃発したグルジア紛争の際にも同様にネット上での攻撃が見られたとの報告がある。

もっともこうした展開を単に「武装攻撃への側面支援」とだけとらえていたのでは、マーケットにおいて生じつつある本当の“潮目”を見失うことになるだろう。
なぜなら、サイバー戦争がテロ紛争の頻発によって日常茶飯事になれば、その分、今度はハッカー攻撃を防ぐための技術が巨大なマーケットをつくりあげることにもなるからだ。
事実、米国では国防コングロマリットであるロッキード・マーチン社とボーイング社がいずれも、2013年には関連するマーケットの規模が実に110億ドルにまで及ぶと予測し、昨夏から盛んに投資を行いつつあるのである。
そのような中、オバマ次期米大統領に対しても、「サイバー戦争を特に担当する閣僚職をホワイトハウスに設けるべきだ」という要求が強くなりつつあるとも聞く。
仮にそうなった場合、“サイバー戦争への防御”はビジネスとしてもいわば正式に認知されたことになり、市場規模の拡大に拍車がかかることであろう。

私たち日本人がうかがい知れないところで激しく繰り広げられている「もう一つのパレスチナ戦争」。マーケットの未来を指し示す“潮目”の予兆としても、引き続き見逃せない。
posted by : at 18:45| Comment(0) | 原田武夫 | 更新情報をチェックする
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