「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成21年(2009年) 1月5日
ハマスの武器=カチューシャ・ロケットはやはり中国製だった
地上戦に突入したイスラエルの強気と国内事情
オルメルト(イスラエル首相)率いる与党「カディマ」政権は死に体だった。
パレスチナ自治政府のアッバス「政権」は、イランが胴元といわれる「ハマス」に屋台
骨を乗っ取られ、アラブ世界で、あたかも王兆銘政権の末期のごとしだった。
「ハマス」をブッシュ政権はいまもテロリスト集団と規定している。
イスラエルは二月の総選挙をひかえ野党リクードの圧勝ムードだった。
与党連立「カディマ」は前首相のシャロンがリクードを割り、野党「労働党」の一部を吸
収して政権を維持するために便宜的に発足させた与党である。
リブニ外相が次期首相として内定し、秋に連立工作を進めたが失敗、二月十日、総選挙
と決まった。パレスチナに強硬姿勢のリクードは、前首相ベンジャミン・ネタニヤフが人
気投票で、リブニを上回っていた。
労働党率いるバラク(首相経験あり)がカディマ連立政権で国防相となり、タカ派軍事
路線に傾斜したため、ここで労働党の人気も回復、リクード、労働党の復権で「カディマ」
は解体の危機が囁かれた。
米国はバラク・フセイン・オバマ次期大統領が中東問題に対してほぼ白紙、外交をヒラ
リー・ローダム・クリントンに丸投げしようとしていた。
オバマは父親がイスラム教徒、インドネシアではイスラム教の学校に通っていた。その
過去を消すために、オバマはミドルネームの「フセイン」を敢えて省略して選挙戦に臨ん
できた。
次期国務長官が予定されるヒラリーに新しいスキャンダルが浮上した。
夫君ウィリアム・ジェファーソン・クリントン(ビル・クリントンの本名)が世界中、と
くに産油国と中国から怪しげなカネをあつめる「クリントン・イニシアティヴェ」の活動
停止を条件に、ヒラリー国務長官が指名されたのだった。
ヒラリーはNY州選出の上院議員でベテランだったモイニハンの後釜、地盤を継承した。
その選挙区のシュラキーズにあるデベロッパーと組んで開発工事発注に便宜をはかった疑
惑が浮上したのだ(ヘラルド・トリビューン、1月5日付け)。
▲死の商人=中国製武器が中東で“活躍”
さて、こうしたタイミングを狙ってハマスはイスラエルにロケット砲撃を開始した。
ロケットはエジプトとガザの「国境」に何本かの密輸トンネルを通じて大量に運ばれ、
「モスク」や「大学」などに隠匿されてきた。殆どのカチューシャ・ロケットは、今回の
攻撃で、中国製と認定された。
中国の「死の商人」ぶりが、またもや露呈された。
さてさて、問題はイスラエルがガザ空爆のあと、地上戦に突入し、事態の長期化泥沼化
を躊躇していないのは国内の選挙事情がおおきく絡む。
げんに空爆以降、世論調査をみれば、圧倒ムードだったリクードと、カディマ率いるリ
ブニ外相との人気が伯仲し、バラク国防相率いる「労働党」の議席も伸びそうな情勢とな
る。
選挙日の二月十日をひかえ、ここでフランス仲介の停戦にイスラエルが応じることはな
いだろう。
また地上戦のイスラエルの戦車にはPLAアッバス派が協力しており、要するにアッパ
ス政権がガザにおいてハマスからの主導権回復を便乗して狙っていることも明らかになっ
た。
イスラエルも、パレスチナ各派も、それぞれの秘めた思惑のもと、乾坤一擲の賭にでた
のだ。
平和ぼけ日本から見れば、この中東の現実、権謀術数は理解しがたい世界だろう。
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2009年01月05日
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